« 水温と珊瑚の成長速度 | メイン | 水温を上げた結果。。。 »

2011年1月10日

褐虫藻のClade等々

皆さんご存知の褐虫藻(英名:zooxanthellae )、学名はSymbiodinium。褐虫藻にも色々種類がありCladeで分けられています。Clade Aから始まりClade B, C, D, E, F G, Hとあります。また、それぞれのCladeにSub Cladeがあるので、とんでも無い数に分けられます。
各Cladeによって共生する生体も違います。当然、各Cladeによって特徴が違います。ちょっと調べただけですが、高水温に対する耐性はClade CよりClade Dのほうが高いなどがあるようです(参照)。


褐虫藻が共生している珊瑚は、褐虫藻から栄養を得ているのでこいつが居なくなる(白化現象)と栄養が十分取れなくなり、死んでしまいます。この辺りのことはミドリイシなどを飼育している人なら誰でも知ってますよね(笑)。
今回興味があって調べたのは、珊瑚に共生する褐虫藻はその珊瑚につき1種類なのか、それとも数種類いるのか?また、生息深度と褐虫藻に相関関係があるのか?ということです。
Goulet氏は、Most corals may not change their symbiontの中で、珊瑚全体のたった23%しか数種類のCladeが共生していないと述べています。また、論文の中には数種類のCladeを持つ生体は環境によってCladeが変ったり、変化することがあると述べられていますが、それは標準的でないかも、と述べています。これに対して、1種類のCladeしか持っていない生体はCladeが変ったり、変化したりする現象は同様の実験では見られなかったと述べています。要するに環境変化における褐虫藻のClade変化はないと。
上記のことは褐虫藻を持つ珊瑚であり、SPS、LPSの区別はありません。飼育が難しいと言われているミドリイシなどはどうなんだろ?って調べたらGoulet氏と違う結果の論文が。。。Carlin氏とCrabbe氏のMultiple Symbiodinium clades in Acropora species sclerractinian corals from the Ningaloo ree, Australiaには、オーストラリアの82個体(4種、11箇所の違った場所から採取)では、78%数種類のCladeを持っていると言う最近の研究結果があると述べられています。うーん、混乱する。ただ、こちらは4種だけ、それに対してGoulet氏のは442種で、43の論文・実験結果を世界の海で行ったものです。その違いあるのかも。あと、Cladeの測定方法なども関係していそう。
話は戻して、このCarlin氏とCrabbe氏の論文は、111個体、7種のAcroporaについて調査しています。彼らの調査の結果、一番多くの生体が保有していたCladeはClade BとCだそうで、この両方が同時に共生していることが多いとあります。UVから保護するMAAsを生産するClade AはほとんどAcroporaからは見つからなかったようです。これはかなり意外でした。浅場の珊瑚などは普段からUVにさらされているのだから、もっとClade Aの共生率が高いと思いました。ただ、Clade Aは水温の変化には弱いらしいので、浅場には逆に向かないのかもしれません。因みに、この論文によるとClade B、C、D、Eは、MAAsを生産しないようです。じゃーどうやって浅場のミドリイシはUVなどから身を守ってるんだろ?また、同じ論文内に、Cladeの分布はAcroporaの大きさや生息深度などとは大きな相関関係は見られないと結論付けています。下の表がその結果の一部らしいですが、確かに水深1~7mにおいてCladeの偏りなどは見られません。但し、同種のAcroporaによって日が当たる当たらないでCladeのSub-Cladeが違うという結果もあるようです。

ZooxanAcropora.jpg


参考

  • Most corals may not change their symbiont

  • Multiple Symbiodinium clades in Acropora species sclerractinian corals from the Ningaloo ree, Australia

  • The distribution of mycosporine-like amino acids (MAAs) and the phylogenetic identity of symbiotic dinoflagellates in cnidarian hosts from the Mexican Caribbean

  • PROJECTS: RESISTANCE TO BLEACHING & CORAL SYMBIONTS

  • Feature Article: Lighting by Number: "Types" of Zooxanthellae and What They Tell Us

  • Patterns of coral-dinoflagellate associations in Acropora: significance of local availability and physiology of Symbiodinium strains and host-symbiont selectivity
  • 投稿者 TAKA : 2011年1月10日 12:30

    コメント

    先生、論文を読まず基本的な質問でスイマセン;;
    褐虫藻ってポリプにも共生しているのでしょうか。
    共肉とポリプの色が違うのってあるじゃないですか(というかほとんど違う?)。あれってCladeの違いでしょうか?
    ソフトならポリプにも褐虫藻いるんでしょうど、SPSとかはどうなんでしょう?
    我が家では緑とか紫をもつポリプの色が抜けていきます。赤とか桃ポリプはほとんど変わらないです。

    投稿者 しかぱっち : 2011年1月10日 08:18

    これまた興味深い。時間が合ったら原文をジックリ読んでみたいです。
    褐虫藻にUV absorbentを産生する能力がなくても、植物プランクトンからそういう物質を得るというのはあるかもしれまんね。フグがふぐ毒をプランクトンから取って体内で濃縮されているように。

    投稿者 けんヂ : 2011年1月10日 09:36

    しかぱっちさん、
    「先生」おねがいですからやめて下さい。「先生」がGoogleです(笑)。
    褐虫藻はポリプにいると思いますよ。ただ、先端の成長点にあるポリプにはいないとの記述を見ました。
    褐虫藻の色は茶色なので、Cladeの違いではないと思います。もともとサンゴがもっている蛍光色素だと思いますよ。当然、照明の種類によって蛍光色素の種類?は変わると思います。
    時間あったらもう少し調べますね。

    けんヂさん、
    調べると結構面白いことが出てきますね。ただ、異なる結果を示している論文があるのでちょっとどう理解するのかが難しいです。
    UVもそうですが、たしか蛍光色素が光ることによっては熱を逃がす?ですよね。このあたりもう少し調べたいですね。
    植物プランクトンの物質を利用するとは考えもつきませんでした。その可能性でも調べて見ます。このあたりスキルというよりは、暇があるかどうかですね。私は暇人なのでこつこつ調べます(笑)。

    投稿者 TAKA : 2011年1月10日 11:39

    コメントしてください




    保存しますか?

    (書式を変更するような一部のHTMLタグを使うことができます)